第111回最高の居場所ライブ(5/20)
『新設図書館を活性化させたチームデザイン
~多様性が活き、可能性も伸ばせたチームづくりのコツ~』
ゲスト:平本雅則さん・小川真子さん


第111回 NPO法人はたらく場研究所-最高の居場所ライブ
『新設図書館を活性化させたチームデザイン
~多様性が活き、可能性も伸ばせたチームづくりのコツ~』 
ゲスト:平本雅則さん・小川真子さん
 
日時:2018年5月20日(日)13:00~17:00
会場:目黒区中小企業センター
参加人数:24名
企画運営チーム:つっちー、あおこ、しん、たな、おだみん &とうりょう

=====記=====
当日のプログラム
1)図書館の紹介
2)運営について
3)チームデザイン/日々の取り組み
4)接遇ワーク体験
5)女性スタッフ・Yさんのエピソード
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★ 最初に平本さんによるウォーミングアップ。
「言うこと一緒、やること一緒!」
みんなで同じ動作をすることで、不思議な一体感が生まれました。

1)図書館の紹介
海老名市立中央図書館は 2015年10月にリニューアルオープン。
“Library & BOOK&Café”をテーマに、誰もが自由に利用しやすく、
「本」、「人」、「体験」の3つを軸とした新しいスタイルに生まれ変わりました。
・様々なイベントを開催(年間140回以上)
各種トークイベント、読み聞かせ、おすすめ本シェア会、子供向けワークショップ、地産地消のマーケット、職場体験、落語、プラネタリウムなどの他に、コーチング、外国語会話など学び系のイベントなど、多岐に渡ります。

既成概念にとらわれない新しい図書館として開館したわけですが、
しかし順風満帆とは行かず、様々な想定外の反応もたくさん起こりました。
その中で、人と本と地域をつなぎ、夢を叶える魔法の図書館を目指し続け、
お正月や試験シーズンには開館前に200人以上の行列ができる程の図書館になったのです。
今回は、オープンから2年半の歩みの中で、ゲストのお二人が現場の仲間と一緒に実践してきた日々の取り組み事例をたっぷり紹介していただきました。

2)運営について
・平本さんは館長補佐として、マネジメントには直接関わらず、全体を見る役割。
主に、コミュニケーション(スタッフのつながり)、メンタル面でのサポート役です。
・図書館で働くスタッフを巻き込み、各自の特技を活かした親近感、安心感、一体感のあるワークショップを多数実施。

3)チームデザイン/日々の取り組み
・日々朝礼で2分間セッション。Good & New を定期的にメンバーでシェアしあう。
一人1分程度で楽しいこと、嬉しいことを伝え合い、ポジティブな思いを反復して、脳をポジティブな思考に切り替える。
AI理論(※注1)をわかりやすく取り入れ、相手への承認ややりがいにつなげる。
※注1:AIは、「Appreciative Inquiry」の略。組織内の「解決すべき問題」というネガティブな部分ではなく、組織や個人の持っているポジティブな面に焦点をあて、対話によって組織の理想像を具体化させていくアプローチ。
「組織開発ガイドブック」より引用
http://www.peoplefocus.jp/OD/2007/06/appreciative_inquiry_ai.html

■コミュニケーションボードを休憩室に設置。
 *メンバーの今年の抱負をカードに書いて貼り出す。
「because I said I would=言ったからには必ずやります」 
→ みんなのやりたいことを知る、その人を知る、みんなで応援し合う。

 *コミュニケーションスタイルのタイプ分けを定期的に実施。
メンバーのスタイルを貼り出す。(相手を理解、承認し相互理解を深める。単なるタイプ分けに終わらず、深めて学んでいくきっかけに)
・毎日行う朝礼などでのコミュニケーションワーク、不定期の接遇やコーチング研修をアルバイトのスタッフにも実施。全てのメンバーを尊重することで、チームへの帰属意識につながっていく。
■運営の月間テーマを決めて共有し 運営全般、イベント企画に反映させる。
利用者にアンケートを実施、フィードバックを活かす。
★ 小川真子さんによる体験ワーク
・手話でコミュニケーション
・「そうだ、本の話をしよう」
 おすすめ本を紹介し合うセッション(小さなノートに記録していき、手元に残していく)

★ 大切にしていること
‘If you want to go fast, go alone. If you want to go far, go together.’
(アフリカのことわざ。
速く行きたいなら、一人で行きなさい。遠くへ行きたいなら、みんなで行きなさい)

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4) 接遇ワーク体験 by 小川真子さん
(図書館の仕事は未経験で入社。平本さんから学び、社内研修を担当)
・利用者とのコミュニケーションの原点を学ぶ
・接遇研修とコーチング研修は、別物と思っていたが、実は車の両輪と気付き、
 相互を融合させて学ぶ取り組みをしている。
・印象に残る接客:嬉しかった、感動したエピソードと失望したエピソードをシェア
・接客マナー基本5原則を考える
「挨拶」、「表情」、「身だしなみ」、「態度」、「言葉使い」
*挨拶 接客6大用語・笑声(smile on smile)                                        *おじぎの練習(2人組でおじぎの角度を測りあい、写真に撮って確認)
*笑顔トレーニング(ウインク、「に~」と言ってみる。風船を膨らますようにetc.)
接客、接遇の根本は、おもてなしの気持ちをカタチで表して相手に礼をつくすこと、接客の仕事ではないから必要ないというのではなく、日常にも意識してみようと思いました。

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5)女性スタッフ・Yさんのエピソード
・統合失調症、女性スタッフ・Yさんのお話。
図書館のスタッフは、Yさんとの接し方について学び、体験して、受け入れる体制を整えました。
日々の業務や本と人との関わりを通して、図書館を楽しみ、可能性を開いていくYさんと、平本さんはじめ仲間の皆さんがとても素敵です。
入社時に、絵本しか読めなかったというYさんは、本の配架や修復の仕事を行う中で本と触れ、どんどんと読書の世界に惹きこまれ、今では年間200冊以上読み、感想ノートをつけ、なんと小説を書くまでに! 昨年10月にはYさんのおすすめ本のフェアも展開されたそうです。

また、書かれる文章は読む人の心を打つ素晴らしいもの。
自分のいる場所に光がある、そんなメッセージをいただきました。
これからのご活躍も本当に楽しみです。
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空間としての図書館の意味を考えた時、
はたらく人にとっては それぞれの個性を活かし可能性を育む場、つながりや広がりの空間。
訪れる人にとっては、場の安心感や人との交流の暖かさを感じる場であると同時に、
たくさんの未知の出会いが刺激的な冒険の場、空間でもある。
居場所とは、という私たちが問い続けてきた問いに応えるヒントがここにはたくさんある。
多様な、はたらき方、かかわり方を促進していく平本さんのような存在が、多くの組織に必要で、とても重要なことと、強く感じます。
平本さんの周りには、たくさんの仲間が集まってくる。
その一人ひとりは、平本さんの背中を見て学び、図書館の今と未来を共に担う素晴らしい仲間。 
卒業していくメンバーも、この体験を新しい世界で活かして、想いを広げていく。
だからこの図書館全体にも同じような循環が起こり、利用する方が増え続けているのだと。
「海老名市立中央図書館」
今、ここで、どんなことが起こっているんだろうと
思わずのぞいて見たくなった方へ
海老名市立中央図書館のホームページはこちらから。
https://ebina.city-library.jp/library/

=====みなさまのアンケートから=====
・人々が過ごしたい空間を様々な工夫でつくりあげていかれた様子にわくわくしました。(M・Kさん)
・図書館の新たな可能性をお聞きしてとてもわくわくしました。
各月面白いテーマを決めメンバーの強みを活かして運営してされていて “楽しく”取り組まれているのがとても伝わってきました。
職員一人一人の思いがお客様にも伝わるのだと思います。
本のシェアワーク、とても楽しかったです。最近小説など読んでいなかったのですが すごく本が読みたくなりました。(マッキーさん)

・小さなことの積み重ねが大切、おじぎ一つが相手に伝わるメッセージ。命(生きる希望)を吹き込む図書館、が心に響きました。(かんなさん)
・学び系のイベントはニーズが高いこと、コーチングは60代、70代にも関心があるということ、地域のコミュニティとして大事な役割を担っていることが感じられました。
(小林さん)
・Yさんのメッセージ。過去と未来をつなぐ階段、内と外の光、すてきでした。
笑声、はじめて聞きましたが大切にしていきます(元木 誠さん)

・Yさんの話を通じて、人の可能性は開かれていること、「本」というものの素晴らしさをを実感しました。
繰り返しになりがちな仕事の現場をどう彩り豊かにするのか、という取り組みを参考にしたいと思います。(上野 羊一さん)
・一人ひとりの多様性を感じる人間としての幅をどうすればもっともっと広げていけるのだろうと深く考えさせられました。
今はインターネットを通じて動画でやり取りもできますが、実際に人を目の前にしてコミュニケーションをとれる素晴らしさを改めて実感することができました(なっちゃん)
・図書館で働く人の人材教育、図書館運営にコーチングやAI の手法を多種多様なやり方で取り入れていることにびっくりしました。
Yさんのお話は図書館の本質を伝えてくれていますね。共に働く仲間の多様性を考える上でも、図書館の可能性としても心に響きます。(みっちーさん)
・いろいろ新しいことにチャレンジされていること。障がい者に対して真剣に取り組まれ、向き合って寄り添われていることが心に響きました。(池上さん)
・チームデザインはお互いを知ることから。平本さんのやさしさ、皆を尊重する姿勢がすてきでした。
(くみさん)

・諦めずに取り組み続ける姿勢が素晴らしいと思いました。
海老名に住みたくなりました。(もめちゃん)
・地域の人が大行列する図書館、その存在は当たり前じゃない。
そこにはすごい熱い想いとチームワークがあったということを感じました。
わたしも図書館ではたらきたい。そう感じたライブでした(SOLさん)