第67回ライブ(6/21)
「デザイン思考」
ゲスト:谷口政秀さん


みなさん、こんにちは、
「最高の居場所」ライブ 6月担当の kok, ちはりぃ、みさえ and まこどん です。
6月21日(土)開催「デザイン思考」by 谷口政秀(イトーキオフィス総合研究所 所長)さんのライブ報告です。  

今回の会場は、近未来オフィス”SYNQA”(イトーキ東京イノベーションセンター)でした。そして同センター所長の谷口政秀さんに講師をお願いし、特別贅沢な「デザイン思考」体験の場を持つ事が出来ました。 
谷口さんは日本に「デザイン思考」を持ちこんだ草分け的実践者です。そして会場のSYNQAが、まさに「デザイン思考」の産物ともいえる空間でした。今日「デザイン思考」を学ぶには、これ以上ない環境を頂く事ができました。(谷口さん、そしてイトーキさんに本当に感謝です)
30名を越す今回の参加者は、6つのチームに分かれ、共同で創造的作業を進めながら、「デザイン思考」の学びを深めていきました。
以下簡単に、その時の様子をご報告したいと思います。
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「デザイン思考」のプロセスは、次の5つだと、谷口さんから冒頭説明がありました。
共感(観察+インタビュー) → 問題定義(問題のリフレーム、個人/グループワーク) → 創造(個人/グループワーク) → プロトタイピング → テスト
アイスブレークが済んだら、ペアを作って早速パートナーの行動観察が始まりました。“パートナーがフルーツゼリーを食べているところを観察する” が、課題です。食べる側は普段通りに食べ、観察する側は、指示に従って観察しました。
3つのポイントを観察し記録する様にと、谷口さんからガイドが出されます。3つとは、①何をしているか(事実を書く) ②行動の中に現れた“おやっ”と思う様なこと(観察者の気づき) ③その“おやっ”から考えられる本人の本当の気持ち(推論)。
ここで出された②の、“おやっ“と思うこと(観察者の気づき)というところが、このワークのキーの様です。 谷口さんが“おやっ”というところだ、と、繰り返し注意を促しています。
観察が終わったら、今組んだペアで相互インタビューを行いました。観察した人が、ゼリーを食べた人に向けて、自分の“気づき”を伝えることから始めます。 食べた人が“本当は何がしたかったのか”を探りあてて行くのが、このインタビューの目指すものです。 
“本当にしたかったこと”を “インサイト”と呼んで、谷口さんは繰り返し説明をしていました。このワークのキー概念であるとの事で、ここの掴みが、本当に大事な様です。
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インタビューは2ラウンド行われ、気づきが掘り下げられてきたところで問題のリフレームに進みました。 次の様な文を作成します。(課題定義文)
○○さんは□□□する方法が必要だった。 
何故なら(驚いた事に、でも、等)
— インサイト —
例えば、
Kさんは、(ホントは)フルーツとゼリーが適度に混ざるような
丁度良いフルーツの大きさと配合比率が必要だった。
何故ならば、
フルーツが大きすぎて、ゼリーとフルーツが一緒にスプーンに乗らず、折角のフルーツゼリーを別々に食べなければいけなかったから。 
こんな感じです。
谷口さんによれば、経験し聞き取ったところからこうした“言語化”を行う事で、“問題の抽象度を上げている“のだそうです。 そして抽象度を上げるとは、既知の方法から離れていく事になる、と言います。 こうした仕掛けを入れる事で、従来の方法でない新しい方法に近づいていく事が出来るという話でした。
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「問題の定義文」の次は、創造のステージに入ります。
ここまでで作った「問題定義文」のニーズを満たす“驚くべくアイデア”を作り上げることが、ここでの課題です。 早速今決定した問題定義文を元に、各チームで“驚くべきアイデア”作成の作業が始まりました。
チームでアイデアが固まってきたら、共同で、解決案のスケッチをひとつ描いていきます。(プロトタイプ)
“スケッチは精密なものである必要はなく、ザックリとメンバー全員が、「そうそう、こういうのがやりたかったんだよなあ・・・」と感じるものを、可視化していくことが大切なんです“と、谷口さん。 こんな調子で2時間が、あっという間に経ちました。
“それでは最後に、今スケッチで表してもらったものを、“カタチ”にしてもらいます。
谷口さんから最後の案内が出されました。 直前に部屋に持ち込まれたレゴや様々なおもちゃを組み合わせて、アイデアを具体的なカタチにしていく作業です。既にチームでスケッチまで書きあげ、イメージが共有されて来ているので、どのチームもすぐに作業を始めていました。とても楽しそうに、皆さん作業をしています。
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6チ―ムが作った個性豊かな“プロトタイプ”を見ると、ゼリーを食べる観察から生まれた様々な気づきが、多様な創造に繋がっていったこと、そして作業の楽しそうな様子が伝わってきます。
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デザイン思考に関して、ここでご紹介した展開パターンは、ガイドブックになっていて
http://www.itoki.jp/catalog/special/designthinking/pdf/designthinking.pdf
から、なんと無料でダウンロードも出来るようになっています。このガイドブックは谷口さんが監修されたものです。
今回のワークを体験した方は、内容もすんなりと腹落ちしやすいだろうと思います。

以下、参加者からの声(心に響いたこと)です。
・イノベーションが起きないのは才能ではなく会社の組織の問題である、という谷口さんの言葉。組織の作り方で解決出来るのだと思いました。(しゅんさん)
・デザイン思考についてより深く学んでいきたいと、思える内容でした。(片岡俊文さん)
・実体験を通してデザイン思考を学べたこと(ゼリーという物がある事で特に良かったです)(津村栄作さん)
・デザイン思考に関する用語を体験出来たのが良かったです。 イノベーションに必要なのは「発見力」。(かんなさん)
・イノベーションに必要な資質は「発見力」。おやっと思う力が最も必要という話が響きました。 (k.o.さん)
・価格、ターゲット、セグメントなど表層部分を比較して考えるのでなく、インサイトに着目しイノベーションを考える体験ができたこと。(川村圭司さん)
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6月ライブの報告は以上です。 皆さま、大変お楽しみさまでした。

NPO法人はたらく場研究所
「最高の居場所」ライブ 6月担当
kok, ちはりぃ、みさえ、 まこどん