第110回最高の居場所ライブ(4/22)
『平和のつくり方 〜夫婦ケンカから職場の対立、紛争まで〜』
佐々木寛さん


第110回最高の居場所ライブ
「平和のつくり方 〜夫婦ケンカから職場の対立、紛争まで〜」
ゲスト講師: 佐々木寛さん

日時:2017年4月22日(日) 13:00-17:00
会場:目黒中小企業センター
参加人数: 22名
運営事務局:くみ、かっちゃん、マリー

【めざしたもの】
コンフリクトにどう向き合うか、コンフリクトの場面で自分がどのような対応を取りやすいかを理解し、自分のニーズ、相手のニーズを冷静に見つめ、奥底の願いに気づく。そのことにより、自分の内から、日常から、平和の生み出し方のヒントを学ぶ。

【オープニング】
■運営事務局より、最高の居場所のビジョン紹介。
■NPO法人はたらく場研究所-最高の居場所代表理事とうりょうから挨拶。
■ゲスト講師の佐々木寛さんが提言される、イラクでの非暴力ワークショップの子どもたちの様子を写真で紹介。
■イラクでの活動を支援するNGO、日本国際ボランティアセンター(JVC)のシリア人スタッフの方からも短く活動紹介していただき、その上で、佐々木寛さんを紹介。
■佐々木さんより、非暴力トレーニングがいかに生まれたか、なぜそれを学ぶにいたったのかの説明。
・旧ユーゴスラビアの紛争を生きた女性たちの経験から生まれたもの。
・多くの紛争が、最初は近所での差別意識や特別意識から、殺し合いに発展していく。
・非暴力トレーニングでは、「文明とは暴力に頼らない社会」とし、日常から平和を作り出すことを学ぶ。

【ワーク①なべなべ底抜け】
2人組になり、手をつないでブラブラさせながら、手をひっくり返し背中合わせになり、それを戻す。これを3人4人と増やし、最後は参加者すべてで手をつなぎやる。簡単に見えてもできない二人組も。コツは相手の動きを感じて合わせること。


・体の抵抗をゆるめ、相手の力にゆだねる。
・昔の遊びの中には、それを学ぶ術がある。
・体がゆるまないと対話はできない。

【ワーク② 水が手のひらに入っているかのように演じながら隣の人に水を渡していく】
・見えないものを相手にわかるように呼吸を合わせながら、意思疎通をとる。

【ワーク③三人組になり、一人が背中から倒れるのを二人でしっかり受け止める】
・背中から落ちるのは怖さがあるが、二人を信頼して体を預ける。受け止めてもらった時の安心を感じる。

【ワーク④ハンズ:手のひらをあわせるように向き合い、それぞれ前へ押し合う】
・コンフリクト(衝突)状態を生み出し、その時、自分がどういう態度に出やすいか、たとえば、相手に負かそうと強く出るのか、遠慮して引く傾向にあるかなどを理解する。たとえ引いてコンフリクトを避けても、感情が満たされず残ることもあり、どちらがいいということではない。

【ワーク⑤「朝の海と都会の夜」の絵】
・ペアA、Bはそれぞれ相手には知らされずに、自分が絵にするもののミッションを伝えられる。紙1枚、ペン1本を二人で使いながら、同時に両方のミッションを果たすには?
・④同様、コンフリクト状態を生み出す。しかし、そこからユニークな絵ができあがったり、紛争やコンフリクトから新たに生まれるものもあることを体験する。
→終了後、それぞれのペアでできた絵を見ながら、感想を聞くと、「相手が何を描こうとしているのかわからず、コンフリクト状態に陥った」、「どうしたら両方が描けるかを考えた」、
「意外といい作品になった」などの声が出た。



【佐々木さんから紛争の構図や、非暴力トレーニングについて、さらに説明】

【ワーク⑥二人組となり非暴力(NVC=Nonviolent Communication)の要素で対話】
・「あなたは○○という気持ちだったのですか?」
最近起きたコンフリクトについて7分ずつ話す。聞き手は「もどかしい」「悲しい」などの
たくさんの感情が描かれた感情シートを見て、こうではないかと感じたものを話し手に選んで伝える。
・「あなたは○○が必要でしたか?」
その後、「理解されたかった」など、たくさんのニーズが書かれたシートから、聞き手は相手の話を聞き、こうではないかと感じたものを選んで話し手に伝える。

・相手がこう伝わったと教えてくれることで、自分の感情やニーズにも気づき、意識を向ける。
・自分の感情に責任を持つ。Responsibility=責任は、応答可能性との意味もある。自分が感じている想いや、その願いの声に自分自身が向き合い、応えることか始まる。
・同様に相手のリアクションの中にも、願いやニーズがあることに気づく。

【会場からの質疑を受け、佐々木さんからの回答・説明】
・これを丁寧にしていくと、職場の悩みの6割が減るとの体感。
・夫婦ケンカのほとんどは、相手の顔を見ていない。相手のペルソナ(顔)はどのような状態か、ニーズは何なのかを考える。

質疑応答の時間が長くなり、すべてのワークができずに時間切れになるほど盛り上がりました。「非暴力トレーニング」は社会変革も目指し、実際に非暴力のアクションを習うそうです。例えば、機動隊に撃たれないデモの仕方を実践、などもあるそうです。

【佐々木先生の言葉より】
・往々にして、対立する相手の深いニーズは同じだったりする。
・自分を理解しないと、対立をこじらせる。自分の声を自分で聞けるように。
・相互理解や対話には、体感も大事。体をゆるめて、体でわかりあう。それあっての良い対話。
・コンフリクトは、創造のスタートでもある。紛争時の妥協を経て、そこを超越した時に、新たなものが生まれる。Conは共に。コンフリクトは良いことだとも考えられる。
・新しい“文明”を創り出す活動は、日常に発する。


【参加者の感想】
・自分の感情やニーズに対して、言葉をもらうことで安心感が得られました。(こばさん)
印象に残ったのは、まず自分のニーズを理解する。紛争は新たな道の第一歩。社会を変えるという次のステップのワークショップもぜひやってください。(陽子さん)
・響いたことは、「紛争は創造の源」、「身体感覚が重要」、「自分の感情の責任は自分にある」。自分は自分の主張を引っ込めて、相手の主張を通してしまうタチであることに気づいたので、自分の主張も通しつつ、相手の主張も通していけるようにありたいと思った。どうすればいいかわからないのですが・・・。(かんなさん)