第108回最高の居場所ライブ(2/4)
『 ほんとうの自分を生きる ~ 内側から革命 』
ゲスト: 諸富 祥彦さん


第108回 NPO法人はたらく場研究所-最高の居場所ライブ
『 ほんとうの自分を生きる ~ 内側から革命 』
ゲスト: 諸富 祥彦さん(明治大学文学部教授)
 
日時:2018年2月4日(日) 13:00~17:00
会場:エコギャラリー新宿
参加人数:49名
企画運営チーム:りり~、しん、まなぶん、おだみん & とうりょう

=====記======

はじめに 諸富先生から最高の居場所へのメッセージ。
一人ひとりが、自分のいる場所が「最高の居場所」と思えるチカラを生み出していく場になると素敵だというお話がありました。

諸富先生の語りかけは、その場にいる人を惹きつける何かがあるだけでなく、難しいことをわかりやすく伝え、場を観て感じて柔軟に進め方を変えて進んでいきます。

何より、楽しめて、笑いあえて、元気がでて、そして、学びになる。
さらには、終わったあとにじわじわ効いてきます。

この日も、笑ったり、身体を動かしたりすることで 心身が少しずつ緩み、そのあとに来る静かに向き合う時間に、より意識を集中しやすくなったように思います。

「まずは、今自分がいるその場を楽しんでみる」、そんな大らかな気持ちも湧いてきました。

★「ほんとうの自分を生きる」とは

「心から満足のいく人生とは?」を様々な視点からわかりやすく伝えてくださいました。

1) 本気で生きる
2) 深く自分を見つめる
3) 深く交流する、語り合う

ほんとうの自分を生きるには、相当の覚悟がいる。
追い求め続けて生きた先に起こる結果にとらわれるのではなく、その景色をまるごと受け入れる、そこに至るプロセスもさらに大切。

生きていく上で起こることには意味があり、それは偶然に見えるかたちで導かれることもある。
今日ここに集まった皆様も、ここに来ることを自分で選び、目に見えない整えがあってここにいる。
運ばれてくるものにどういう態度をとるか、偶然めぐってきたものに“Yes”と言う積極的な生き方を選び、自分の声を丁寧に聴き続ける。そうして深い真実のある傾聴を学び、自分自身を深く探究し続けていくことが、ほんとうの自分を生きることにつながっていく。

諸富先生が海外留学した大学院は、平均年齢48歳の人達が多く学ぶ場で、知識や資格の習得のためだけでない学びは、経験を重ねた成熟した大人だからこそ可能になるというお話もありました。
このテーマは、昨年出版の『「本当の大人」になるための心理学』にも詳しく書かれています。

真に内面的に成長、成熟した人間として心から満たされた人生を生きる。
それが難しい時代に、私たちは何を大切に、目印にして生きていくのか。
そのための扉をひとつずつ開いていきます。

★「内側から革命」とは

「フォーカシング」と呼ばれる、自分の内側の声を聴き続けることが、内側からの革命のはじまりです。

なんと本邦初公開で、自分の人生にワクワクすることを取り戻すための5つのステップをお聞きすることができました。
まさに諸富先生の内側からその場で出てきた新たな智慧に出会えるという、ライブならではの醍醐味でした。

【フォーカシングの5ステップ】

1)自分の時間の流れを止める(意識的に行う)
  ・一時停止ボタンをおす
  ・時間の流れの中で、自分の時間だけが止まり、その横を時間がどんどん通りすぎていく感覚
  ・カフェ等でもいい。一日の内に少しだけでもそんな自分のための時間を持つ。

2)頭の働きにストップをかける
  ・それによって、自分の中に“スペース”ができる。
  ・「クリアリング・ア・スペース」、「スペースづくり」等の言い方がある。
  
3)そのスペースの中で、自分の内側に意識を向ける: ダイレクトリファー
  ・時間と頭の動きを止めると自分の内側にスペースができる
  ・意識を向けるとは、ほんの一瞬ちらっとではなく、そこにとどまり続ける感覚

4)内側の深いところに響かせる: リソネート
  ・理性、知性、感情ではないもの
  ・向ける → とどめる感覚
  ・繊細で曖昧、言葉にならないもの(フェルトセンス)
  ・違和感を研ぎ澄ます感覚
  ・しっくり、ぴったり感を大事にし、よりしっくり、ぴったりくるものを探し続ける
  ・パターン化されてない、暗黙の未知なる側面(ジ・インプリシット)に直接ふれていく

5)他の人々との間に共鳴・共振する
  ・内側のピッタリを探し求めていった先に、ずっと探し求めていたものにぶち当たる。
  ・自分の深いところで響いたものは、他の人にも共鳴・共振する。それが既存の概念に相互作用して、新しいパターン(文化)を作る。
  ・固定化された文化、パターン、倫理観の中で生きていると、安心・安全ではあるが、やがて輝きを失う。「ちょっと違うよ」が新しいパターンを生み出す。
  ・深いところで共通性をもっている多くの人々に響いていくと、人類全体の意識のパターンが一つ前に進む。

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この5つを「ほんとうの自分」を生きるためのステップとして繰り返していくことで、一段一段その人の内側が向上していきます。

現代にありがちなルールや価値観にただ従って生きている人が多い中で、これを実践している人は現代人の1%と言われている。

この1%という数字を低いと見るかですが、諸富先生にとっては充分高い数字。1%から5%、そして20%・・・と増えていく可能性を信じているそうです。

一人一人が自分の内側に響かせ深いところにつながり、既存の概念と激しく相互作用させていくと新たな何かが生まれる。そこで生まれた何かが相互に共鳴・共振していけば、新しい文化が生み出され、世界全体を変えるようなムーブメントを起こしていく。

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【日常でこの5つを実践するときの“ヒント”】

・「何か違うな」「何か気になる」というちょっとした違和感を、生活レベルで響かせて選ぶ

・忘れものをした時の意味不明な感覚を思い出す

・“し損なわないようにする”のがフォーカシング。正体がわからないけど「なんかこうしたらいい」という感じを掴むようにする

・違和感を大事にしながら内側に響かせていくと、「これが本当だ」「本物だ」と思える何かにたどりつく

・自分に出会うために、よりしっくり、ぴったりするために繰り返し響かせて、新たな理論を生成していく

諸富先生は文章を書くときにも、このステップを活かしているとのことでした。

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コーチやカウンセラーをされている方々にとってご参考になりそうな、こんなお話もありました。

★「ほんとうの自分」を生きようとすると難しいのが 3と4のステップ。
 3)自分の内側にスペースをつくり、意識をそこに向けて深くつながる
4)内側の深いところに響かせる
この2つは一人でやるのは大変なので、誰かに聴いてもらうと良い。そのことを体感できるワークも行いました。
 
【聴いてくれる人がいるメリット】
・心を込めて聴いてくれる人がそばにいる時に初めて可能になり、自分は集中し続けられる。
・コーチング、カウンセリングの原点であり、その存在意義にもつながる。
・聴く人の最大の役割は、話し手の内側への意識集中の保持である。

【聴く側のポイント】
・心をこめて聴く
・話し手が「この言葉を返してください」というポーズで手を差し出したら、リクエストされたように言葉を返す。

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★ 行った主なワーク
1)2人組ワーク 「“ほんとうの自分を生きる”ことについて内側に響かせながら語る」
 2)4人組ワーク 「二重の共感のとき」 
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最後まで一貫して、“この場で起こっていること”に全身全霊で関わっていく諸富先生の覚悟、あり方にふれて、
・自分の心の声を丁寧に聴き続けること
・魂を満たして日々を生き抜くこと
・人間性を磨き続けていくこと
の大切さを心に刻みました。

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【参加された皆様のアンケートから】(一部抜粋)

・自分と出逢う旅のような時間でした。週一回カフェで自分と対話する時間を設けます。(T.Aさん)

・共鳴・共振させていくこと それが文化を変えていく力になること。 
 心に響かせて内側を探っていくこと 日常でどういう感覚かを詳しく伝えていただいた  のでとても実感できた。(N.Iさん)

・本当の自分を生きるということへの熱意が一人ひとりから伝わった、本当の自分とつながる方法を活用したい。(Y.Kさん)

・何もしないひとときを持つことが自分にフォーカシングするのに有効であること、一日一回は自分と向き合う時間をもつ。(かんなさん)

・4人グループのワークで皆様からいただいたものが一つ一つ響き、肚落ちしました。(こーいちろーさん)
・自分の中にあるもの 内側の深いところが少し見えた、少しでも本当の自分と向き合う時間をとる。(かじゃさん)

・先生のあり方、人と繋げるムード、1)から5) へのライブ感(めぐっちさん)

・本当の自分はウソの自分と対比されるものではなく、自分が求める真善美を体現した自分であること、そして完璧に体現することはありえないが、追い求めていくことが大切であること。(M.Yさん)

・先生の言葉、全て魂に響きました。久しぶりのこの感覚に感謝です(田中 久美さん)

・楽しい話の中で静かに向き合えるギャップに惹かれます。本当の自分を感じた時、小さい頃からの違和感に気づいた。職場で月に一度でも、感じるワークショップをできたら職場も変わるかなあ。(Y.Hさん)

・響いたこと、「内側から革命」。1%の人間が世界を変えていく可能性を信じたい。(佐藤美佐子さん)
・自分の内側を見直すことの大切さを改めて感じ取れました。(えみーさん)
・時の流れを止める、頭の動きを止める、ふと気がつくと私のまわりのざわついた空気の流れがゆるやかになった気がした。内側(心?)が静かに響いている、そんな感じがしました。時代や景色が変化してもたおやかにゆらいでいるのが自分、とメッセージがありました。日常でも活用していきたいと思います。(みかりんさん)

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懇親会の締めには、居場所メンバー 川端健一さん(バタヤン)から諸富先生へスペシャル川柳のプレゼントが贈られました。

もろと  諸共に
み    見つめた自分
よし   よしきめた
ひ    響く仲間は
こ    ここにいっぱい
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あらためてゲストのご紹介
★ 諸富 祥彦さん ★
明治大学文学部教授
日本トランスパーソナル学会会長
日本産業カウンセリング学会理事
日本生徒指導学会理事、他

【主な著作】
『「本当の大人」になるための心理学 心理療法家が説く心の成熟』(2017年9月新刊)
『あなたのその苦しみには意味がある』
『私たちはなんのために働くのか』
『「すべて投げ出してしまいたい」と思ったら読む本』
『生きていくことの意味』
『魂のミッション― あなたが生まれてきた意味』、他多数

書籍・講演・セミナー情報はウェブサイトからご覧いただけます。
★ ウェブサイト:http://morotomi.net/